ダヴィンチ読んだ
なかなか読み応えありました。
こんな有名雑誌でここまで人物像をかみ砕いて載せてくださるなんてありがたすぎて、KADOKAWAさんにどれだけ感謝すればいいのやら。本当にありがたいことです。
アイドルじゃなくて作家としてここまで大きい特集を組んでくださったこと本当に嬉しく思います。
まずは園監督との対談。
園監督はシゲアキさんのことを「会う前は中年にさしかかってるぐらいの年齢かと思ってた」んだそうです。
園「文章自体は若々しくて青春の切なさみたいなものを持っているんだけど、それを過去として振り返るから、真っ只中という感じがしない。」
園「その時代を通過した人たちが中年になって、それを懐古している話みたいです。」
なんとなく、シゲアキさんの作品が(某社長さん含め)おじさま世代に好かれる理由がわかるような気がしました。
加藤「学生時代に仕事をしてしまったがゆえに、後悔していることもあります。友達と過ごす時間があまりなくて、その欠けてしまったピースを埋めたい気持ちというか、経験をしてないからこそ憧れが残っているのかもしれません」
私はアイドルヲタをやってて、そこが一番とても切なく感じちゃうところなんですよね。アイドルという職業を選んでしまったばかりにいわゆる”普通”の学生生活はできなかったわけで…。アイドルにならなかった人生を選択していたらもっと幸せだったのじゃないかと。ファンとしては応援することで苦しめてるのではないだろうかって。
でも、自担が選択してくれて、今こうして表現者として世に出てくれているから私が出会えた感情があるのも確かにあって。私は自担のこの選択を応援し続けたいと思っています。
(※朝井さんの「武道館」にもっぱら影響されてます)
シゲアキさん自身「僕は心が弱いもので、挫折した経験をすごく覚えていて、内面はすごくウジウジしてるんです(笑)〜略〜主人公が孤独だったりするもののほうが好きです」っていう人だから。
だから私は彼の作品に共感できちゃうんだろうなと思います。安心できちゃうというか。
あと、私はいわゆる”恋愛小説”というものが苦手であって。たぶん10代から20代の頃に爆発的にケータイ小説というものが流行ったことに対する反発心かもしれないのだけれども。
だから『恋愛小説(仮)』ではどう来るのかと正直身構えたけど、そんなハードルなんてするっと抜けちゃって、軽々私の中に入ってきちゃうシゲアキさんはさすがだと思ってます。
どの作品でもそれは言えることであって。恋愛要素もしくは性描写があったとしても自然な話の流れのことで、すべてを文学的に美しく仕上げてくるから彼の作品は読んでいても心地よいのです。
一番成績の悪かった国語。
人生って分からないものですね、そんな彼が小説を書くようになるなんて。
でも国語の設問で言葉が溢れるくらい、いろんな感情を当時からお持ちであったのなら、のちの小説家の片鱗はこの時からすでにあったのかもしれないですね。
「実力はないのに、仕事だけが決まるんですよ」
「もらってる仕事に反して、実力や人気が伴っていないのは自分でも分かっていたんです」
これくらいの年代だったら、良い仕事がもらえたら自分はいけんじゃないか??って勘違いしちゃいそうなのに…。
きっと彼の中では表には見せられない葛藤があったんですね。
そのことを現実的に受け止めなきゃならなかった出来事がまさかのデビューだったとは。
ファン側の見方としてはデビュー出来て嬉しい!!というが一般的なものだと思うけど、実際はデビューしたことでここまで辛い気持ちをもってしまうこともあるんだというのはシゲアキさんに教えてもらったことでした。
青学出身でジャニーズでグループ組んでデビューも出来て。人から見たら順風満帆すぎる人生のように見えるのに…
その内側で自分は「落ちこぼれだ」とか。「俺が抜けた方がこのグループはもっとまとまりが出て、もっと輝けるんじゃないか」とか。
彼の心は泣いていた。。。
なんか、”加藤シゲアキの人生”って、映画1本作れちゃいそうなぐらい濃厚ですね*1(苦笑)
友人との共通の話題を持つため、売れてる小説や話題になった映画に触れるようになった加藤少年。
そして、高校3年生の時に授業で書いた『妄想ライン』を先生や友人に褒められ、「俺は書くことが好きだし、案外向いてるのかもしれないな」と自信になった。
それから、ジャニーズwebで連載がはじまる。
そこで初めて事務所の人に褒めてもらえた。雑誌でエッセイを連載したり、ソロ曲の作詞作曲、独り舞台を手がけるようになった。
同時期に『タマフル』での映画評論に衝撃を受け、物語の作り方を学んでいくようになった。
この頃の体験はのちの作家加藤シゲアキが形成されるきっかけになったように思います。
書くことでもエッセイじゃなくて小説を選んだ理由がかりました。
フィクションだから隅々まで書けることがあるんですね。だから小説という選択肢を選んだんだと。
最初小説を書きたいと直談判しに行ったとき”芸能界の話にするとこ”は事務所側から言われたことだったんですね。これは今回私は初めて知りました。どっかで語られてるのかな??
「ホントはね、俺が本を出して”お前すげえじゃん。お前ともっと一緒にやりたいわ”と言ってくれるのを願ってたんだけど、間に合わなかったな」というシゲアキさんの言葉に胸がキュっとなりました。
でもその想い、彼にはきっと届いてると思うよ。一緒に仕事したいって言ってるし→http://d.hatena.ne.jp/GreenOrangeGreen/20130907/1378553320(小声)
2冊目の話になったとき、チャンカパーナの振り付けをしてるときで「その時は完全なアイドルモードで、”この時にしか書けないものを記録したい”って気持ちでアイドルの本を書こうと」これは嬉しいし、まさしくこのときの彼にしか書けない小説だったなと思います。
「小説を書くことで、自分に対してもそうだし、社会に対して向き合っているんだと思う。自分では経験できないような怒りや悲しみを、知りたい、理解したいと思っているんです」この言葉とてもかっこいいと思いました。
ただ読んでておもしろいだけじゃなく、シゲアキさんの作品を読んでいるとたくさんの感情を思い出させてもらえるんですよね。そこが大好きなところです。
次の作品ではどんな感情に出会わせてもらえるか楽しみです。だからずっとずっと書き続けてね。
最後に「加藤シゲアキの決意」を読みました。
いままでのダ・ヴィンチでのインタビューを振り返ってるんですが、この人はどこまでも正直すぎる人だと感じました。
小説を書いてる以上自分の感情と向き合わざるを得ないですもんね。
これかも、私の中にあなたの言葉をたくさんたくさん刻みつけてくださいね。私もそれを望んでいます。
*1:同じように、デビュー当時いろいろ悩むことあったんじゃないかと思う人が手越さんですね。彼の人生も遠い未来に映画に出来ちゃいそうです。